大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和36(オ)873 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士堀切真一郎の上告理由は別紙のとおりである。

上告理由の一について。

昭和三三年二月三日の口頭弁論調書に徴するも、所論のように、被上告人代理人

が本件退職金の支給が条例に根拠を有しないとの事実を自白したものとは到底解す

ることができない。論旨は理由がない。

同二について。

論旨は、要するに、村長であつた被上告人に対する七五万円の退職金について議

会の議決はなかつた旨を主張するに帰するのであるが、右は原審の専権に属する証

拠の取捨、事実認定を非難するに過きず、採用の限りでない。

同三について。

論旨は、退職金の給与は民法上の贈与であると主張するのであるが、一般職に対

する退職金の給与については、その率が条例で定められており、特別職については、

その都度、議会の議決で定めることになつていたからといつて、その性質に差違が

あるわけはなく、地方自治法二〇五条が退職金について規定し、同法二〇六条が、

異議、訴願の途を開いていることからも、退職金は公法上の給与であつて民法上の

贈与ではないと解すべきである。所論のように、議決をもつて退職金を給与しない

ことを定めることができるとしても、そのことによつて退職金の給与を民法上の贈

与と解しなければならないことはない。論旨は理由がない。

同四について。

論旨は、本件退職金の給与は財源上不可能であるにかかわらず、これを可能と誤

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信してした議会の議決は無効であるというのである。しかし、被上告人に対する退

職金の給与は議会の議決で定まるのであるから、議会の議決があれば、予算の有無

にかかわらず、上告人は被上告人に対し支払義務を負うものといわなければならな

い。論旨は、本件退職金給与に関する議案は、よつて利益を受ける者によつて提出

された事実を主張するのであるが、そのような者によつて議案が提出された場合に

も議会はいかようにも議決をすることができるのであるから、右のような事実によ

つて右議決を無効とすることはできない。

論旨はまた、本件退職金の議決に瑕疵がある以上、これを取消し、撤回し、無効

を宣言することができ、昭和三五年七月一三日の新村の議会の取消議決はその趣旨

であるというのである。しかし、本件議決に瑕疵があると断定できないのみならず、

議決によつて被上告人の退職金請求権が具体的に生じた後において、所論のような

理由によつても、その取消はゆるされないものと解するのが相当である。論旨は理

由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとお

り判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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